病院への搬送の基準

こんにちは。

初めましての方は、ここにたどり着いてくれてありがとうございます。

今回は、おしか助産院から病院分娩へと搬送になる方の基準について少しお話します。

というのも、実は昨日病院にお願いした妊婦さんがいましたので、搬送についての私なりの考え方をお伝えしたいと思ったのです。

まず、私がお産を扱う上で一番大切にしているのは、母子の安全です。

何を当たり前なことを・・・とお笑いになるかもしれませんが、その当たり前がなかなか難しいのです。

なぜなら、病院にお願いする時には「確実に助産院ではお産はもう難しいけれどまだ赤ちゃんもお母さんも分娩に耐えられる余力がある状態」を見極めなくてはならないからです。

お母さんにとっては、まだ頑張れるかもしれないのに・・自分の頑張りがたりないんじゃないか・・自分はやりきることができなかったのか・・・などなど搬送となれば葛藤や不安が心をよぎります。

私にとっても、助産師として全てのことをやり切ったのか?もっともっとやることがあるのではないか?まだまだもっともっと・・・・・という感情がわいてきます。

しかし、搬送の決断を下すまでにはすごく困難な状況を妊婦さんも私も過ごしてきており、心身ともに限界に近付いているのです。限界を超えてしまい状態が悪化してからでは遅いのです。

搬送の見極めが早すぎれば、助産院での出産と入院を希望していた妊婦さんにとっては、せっかくの出産が思い描いていたものではなくなる後悔を残してしまいますし、遅すぎれば母子の命と予後に危険をもたらします。

出産される方が、全力でお産に臨み、その結果として赤ちゃんの命を守るために出産場所が病院になったことを納得し、ご自身の出産経験を頑張った思い出として記憶できるよう、私も全力でお産に向き合っていきたいです。

そうそう昨日の搬送の方は、数時間後に無事赤ちゃんが生まれましたとご家族からご連絡をいただきました。今は、お産で一緒に格闘(!?)した名残の筋肉痛が、私にとってのやり切った感です。退院したら赤ちゃん見せに行きますと言って病院でお別れした妊婦さん(今はお母さん)が笑顔で赤ちゃんを抱いて会いに来てくれるのを楽しみに待っています。

最後に一つ。

昨日搬送した時に、いつも搬送を受け入れて下さる静岡済生会の助産師さんが、それまでのつらい陣痛と搬送の不安に押しつぶされそうになって今にも泣きだしてしまいそうな妊婦さをそっと抱きしめてくれました。そして担当のドクターは、よく頑張りましたねと言ってこれからの流れを丁寧に説明してくれました。

突然の妊産婦の搬送への神対応に、いつもながら頭が下がります。

おしか助産院を選んでくださる妊婦さんが、助産院で産んでも病院で産んでも満足できるのは、私だけじゃなく嘱託医療機関である済生会の皆様のおかげだなと、つくづく思う搬送での場面でした。