母になるということ

皆さんこんにちははじめまして。

最近観たYouTube動画のお話です。

それは馬の出産や子育ての動画でした。

その母馬は二回目の出産でした。最初の出産の時は牧場スタッフが付きっきりで面倒をみてお手伝いしたお産だったそうです。

その結果、赤ちゃん馬は無事に生まれましたがお母さん馬は赤ちゃんに関心を示さず育児放棄したそうです。

そして二回目。前回の反省からスタッフはカメラで見守りつつ、最後の最後に赤ちゃんが出るところだけサッと介助してすぐに姿を消しました。

出産直後は赤ちゃんに関心を示さず、赤ちゃんがよろよろと立ち上がり近づくと蹴ったりして危ない状態でしたが、すぐにスタッフがオッパイを吸えるように環境を整えて赤ちゃん馬が母馬のオッパイに吸い付いたら、そこからは母馬は赤ちゃん馬のそばを離れないようになりました。

人間と馬を同じようには語れませんがでも動物としての本能って似ていると思うのです。

医療的必要性の低い医療介入・薬剤の乱用。お母さんが痛みが少なければ赤ちゃんも樂だよねと行われる無痛分娩や陣痛促進。それ。本当ですか?

大きな会陰切開をして吸引分娩でこの世に出てきていませんか?

そうして、赤ちゃんはベビー室で管理されすぐに直接授乳をするわけではなく、母児同室でも夜間は自由に預けることができ、家族に会うのも退院した後。お母さんはフランス料理を食べ、赤ちゃんはスタッフが哺乳瓶でミルク。

自分の赤ちゃんですよ。この世に生まれて間もない命を、今まで面識のない新生児室のスタッフに預けるんですよ。

もちろん、医学的に必要な処置の為でしたらそれは何よりも優先されなくてはなりません。麻酔も陣痛促進薬も吸引や鉗子による分娩も帝王切開もそして小児科による赤ちゃんの管理も、それが医学的に必要な場合はそれを行うと判断した医師や受け入れたママさん達の判断は間違っていませんしむしろ速やかな判断と処置ができることが重要だと思います。

しかし、本当に医学的に必要なことが行われているのでしょうか?

最近産後ケアの問い合わせで、赤ちゃんを預かってほしい・夜寝たい・・というご依頼があります。おしか助産院では申し訳ないですが、赤ちゃんをこちらで預かってお母さまに休んでいただく形での産後ケアは受けていません。あくまでも、赤ちゃんと一緒に過ごしつつお母さまも休めて心にゆとりが生まれるような育児を一緒に考えてゆきます。そういう育児を教えて差し上げたいのですが、きっと皆さん切羽詰まっているのでしょう。赤ちゃんの預かりはできないんですよというと、では他を探しますとなります。実際問題として夜間の出産やそれに伴う緊急時の対応があるため、責任をもって夜間の赤ちゃん預かりができないのです。

産まれ来る赤ちゃんは、まずはお母さんの身体の中にいます。そして生まれ出てへその緒が切れて体が離れます。赤ちゃんにとっては衝撃的な変化でしょう。しかし、お母さんのオッパイや抱かれるぬくもりや匂いが、体内を思い出させて赤ちゃんを落ち着かせてくれます。お母さんは、赤ちゃんの泣き声に何回も何百万回も応えお世話をします。そうすることで赤ちゃんにお母さんや周囲の人に対する信頼感を芽生えさせるのです。そして離乳食が始まり少しずつ母乳やミルクの回数が減り授乳の度の抱っこがなくなり赤ちゃんとお母さんが身体的にも離れていきます。一歳になり二歳になり、だんだんと外の世界が広がりお母さんと子供は体ではなく心でつながるようになります。

母になるってそういうことなんじゃないかな。

自分の身体を信じ・赤ちゃんの生まれる力を信じ・時には医療を信じ、一歩一歩母になる。

それを見守り支えるのが私たち助産師の役目なんです。

楽に終わるように、早く終わるように・・・ではないんです。